Spin the Black Circle

アナログレコード鑑賞記を中心に、映画や本など興味の向くままに語る、40代オヤジの独り言

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Bob Dyaln : Tempest

2012.09.24

category : ボブ・ディラン



Bob Dylan、彼のことを神格化しそうになったら、このPVを見れば一発で崩壊します。

久々に観ましたが、この映像の破壊力は一向に衰えていません。Focusを読むDylan、取り調べを受けるDylan、ブティックをぶらつくDylan、そして倍賞美津子。人々がDylanに求めるものを、ことごとく裏切るこの演出こそ、Bob Dylanというアーティストが高らかに人間宣言をした、記念すべき作品でした。エンディングでの振付で踊るDylanを観てすら、彼を神を崇める人が果たして居るのでしょうか。

そんな愛すべき駄作PVから27年、Dylanは注目に値するPVをとうとうモノにしました。最新アルバム"Tempest"からのPV、'Duquesne Whistle'です。



観てもらえば一目瞭然ですが、全くもって救いようのないPVです。「可哀想」と思うのか、「自業自得」と思うのか、観る人によって最後の印象が変わるでしょうね。いやあ、ビックリする映像です。

そして、Dylan。彼はボロボロになった主人公を一瞥もせず、通り過ぎてゆきます。そここそが、このPVの肝でしょうか。世間で何が起こっても、彼は一向に介せず、飄々と通り過ぎてゆく。Dlyanというアーティストの本質を突いた、相当核心を突いたPVだと思います。

そんな充実のPVを監督したのは、Nash Edgertonという方。フィルモグラフィーを見る限り、監督作で大きなヒットはなさそうです。どちらかというとスタントマンとして活躍しているようですが。しかし不思議なことに、DylanのPVを監督するのは、これで3作目。どうも個人的に仲がいいようです。

さて、アルバム"Tempest"ですが、Dylanこの10年を象徴するような、充実作です。サウンド的には2011年の"Love and Theft"から続く、セルフプロデュースのサウンドの流れを汲んでいますが、今作が最もバンドのとしての連帯感を感じます。個人的には、Dylanは幼少の頃に自らを熱狂させたサウンドを、自らの曲で何とか再現しようとしているのだと感じます。その試みは、2000年代の秀作と同じく、今回も成功していると感じます。

しかし、本作はその2000年代諸作の発表時と比べ、この日本では随分称賛の声が高いように思います。それは多分、昨年のライブハウス・ツアーのライブで、今のDylanのやりたいことを、皆が感じられたからではないかな、と思うのです。あのライブで、ようやくDylanの今が理解できたというか。

13分にも及ぶ表題曲、'A Day in the Life'からの引用もあるJohn Lennonへのオマージュ'Roll On John'などが評価が高いようですが、わたしのフェイバリットは哀愁漂う'Long And Wasted Years'です。わたしの購入したアナログ盤には歌詞がありませんので、訳してみました(張れる音源が見つかりません…)。


Long And Wasted Years

It's been such a long, long time
長い、長い時が過ぎた
Since we loved each other and our hearts were true
真剣に、私達が愛し合ってから
One time, for one brief day, I was the man for you
かつて、ほんの一日、私はお前の男だった

Last night I heard you talking in your sleep
昨日、お前の寝言を聞いた
Saying things you shouldn't say
言うべきじゃない言葉だった
Oh baby, you just might have to go to jail someday
お前、お前は堀の中に入るべきだったね

Is there a place we can go?
私達に行ける場所はあるのか?
Is there anybody we can see?
会える人は居るのか?
Maybe, it's the same for you as it is for me
多分、君の為でも、私の為でもあるんだ

I ain't seen my family in twenty years
20年、私は家族に会っていない
That ain't easy to understand
ちょっと理解しがたいことだが
They may be dead by now
みんなもう死んでるかもね
I lost track of them after they lost their land
家族が土地を失った後、消息が分からなくなったんだ

Shake it up baby twist and shout
シェイク・イット・アップ・ベイビー、トゥイスト・アンド・シャウト
You know what it's all about
どういう意味かは分かるだろ
What you doing out there in the sun anyway?
一体、こんな陽射しの中で何してる?
Don't you know the sun can burn your brains right out?
知ってるだろ、太陽は脳を焼き尽くすんだぜ

My enemy crashed into the dust
私の敵は塵と化した
Stopped in dead his tracks and he lost his lust
死によって奴の轍は消え、欲望は消え去った
He was run down hard and he broke apart
奴は激しく消耗し、そして砕け散った
He died in shame he had an iron heart
鉄の心を持った奴は、恥じて死んだ

I wear dark glasses to cover my eyes
私は目を隠すため、濃いサングラスを掛けている
There are secrets in them I can't disguise
奴らには秘密がある、私はそれを隠せない
Come back baby if I ever hurt your feelings I apologize
帰ってきてくれ、傷つけたのなら謝るよ

Two trains running by side side
2台の列車が並んで走る
Forty miles wide, down the eastern line
40マイル、東部線を下る
You don't have to go I just came to you because your a friend of mine
来なくていい、私が行く、お前は私の友人だから

I think that when my back was turned
私が背を向けた世界が
The whole world behind me burned
燃え尽きた時から
It's been awhile since we walked down that long, long aisle
随分長い、長い道を歩いてきた気がする

We cried on that cold and frosty morn
私たちは冷たく、霜の降りる朝に泣いた
We cried because our souls were torn
泣いた、私たちの魂が引き裂かれたことに
So much for tears, so much for these long and wasted years
涙はもういい、こんな長く、つらい日々もご免だ

- Bob Dylan -


購入したアナログ盤について一言。同レーベルのBruce Springsteenと同様、2枚組なのにシングルジャケットです。Columbiaというレーベルは、アナログが分かっていないようです。ジャケットのデザインも重要なんです!2枚組であれば見開きジャケットは基本でしょうが!


tempest.jpg
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Make You Feel My Love

2012.02.09

category : ボブ・ディラン

 前回の記事で、アルバム"Time Out of Mind"を「どす黒い、絶望感を多く感じるアルバム」と評しましたが、その闇に差す一条の光が、'Make You Feel My Love'という名曲です。
 
 Billy Joelを先頭に、既に幾多のカヴァーが存在しますが、今回のアルバム"Chimes of Freedom"にはAdeleのライブヴァージョンが収録されました。

Make You Feel My Love

雨が君の顔を打ち When the rain is blowing in your face
この世界が君を悩ませるなら And the whole world is on your case
暖かく包んであげよう I could offer you a warm embrace
私のこの、愛を感じでもらうために To make you feel my love

夕陽が陰り、星が輝く頃 When the evening shadows and the stars appear
君の涙を拭う人が、誰もいないなら And there is no one there to dry your tears
いつまでも抱きしめてあげよう I could hold you for a million years
私のこの、愛を感じでもらうために To make you feel my love

心を決めかねているんだね I know you haven’t made your mind up yet
でも君を絶対に苦しめはしない But I would never do you wrong
出会った頃から分かっていたこと I’ve known it from the moment that we met
君が何処にいようと、この心に迷いはない No doubt in my mind where you belong

腹を空かせ、青あざを作り I’d go hungry, I’d go black and blue
通りを這いつくばることになろうとも I’d go crawling down the avenue
私にできないことは何もない There’s nothing that I wouldn’t do
私のこの、愛を感じでもらうためなら To make you feel my love

波立つ洋上では嵐が荒れ狂う The storms are raging on the rollin’ sea
後悔に満ちたハイウェイの上でも And on the highway of regret
風は気ままに吹き荒れる The winds of change are blowing wild and free
こんな私の苦しみ、君にはまだ必要ない You ain’t seen nothing like me yet

君を幸せにしよう、夢だってかなえよう I could make you happy, make your dreams come true
できないことは何もない Nothing that I wouldn’t do
この地の果てまでも行こう Go to the ends of the earth for you
私のこの、愛を感じでもらうためなら To make you feel my love

- Bob Dylan -






 Adeleのアルバム"21"は、昨年最も売れたアルバムだそうです。こういったアーティストのアルバムが支持されるのは、とても健全な感じがしていいですね。

 彼女のカヴァーした'Make You Feel My Love'は、デビューアルバム'19'に収録。プロデューサーに薦められてこの曲を歌ったそうですが、今では彼女を代表する曲のひとつになっています。聴いている人々の感嘆がよく分かる、素晴らしい歌唱です。

 歌詞は非常にシンプル、Dylanの曲の中でも群を抜いた分かり易さです。恐らく、彼は他人への提供を前提にこの曲を書いたのではないでしょうか。この曲には他とは違った、普遍性を持たせようとした意図が感じられる気がします。それが全然嫌味でないのが、Dylanという作家の素晴らしいところであります。

 'Blowin' in the Wind'などの60年代の名曲だけでなく、こういった晩年の名曲も歌い継がれてゆくのは、本当に嬉しいです。






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All Along the Watchtower

2012.02.05

category : ボブ・ディラン

 Bob Dylanから影響を受けたアーティストが多数居るように、Bob Dylanも多くの先人から影響を受けています。しかし、同時代のアーティスト、後発のアーティストからの影響を本人が語ることは、殆どありません。

 その限られた、同時代で影響を受けたアーティストの筆頭として、Jimi Hendrixを挙げることが出来ます。

 二人を最も密接に繋ぐ歌は、'All Along the Watchtower'でしょう。Jimiのカヴァーしたバージョンを聴いて、Dylanは「もうこの歌の半分は彼のものだ」と語り、Jimiの死後は彼のヴァージョンに近い形で、何度もこの曲を演奏しています。そして、「この曲を演奏する度に、彼のことを思い出す」とも語っています。

 Jimiがこの曲に何をもたらしたかは、Dylanのヴァージョンと、Jimiのヴァージョンを聴き比べてみれば明らかです。

 そんな逸話のある'All Along the Watchtower'ですが、やはり多くのアーティストがJimi Hendrixのヴァージョンを元にカヴァーをしています。Neil YoungU2など、そういったヴァージョンは枚挙に暇がありません。

 そして、今回のカヴァー・アルバム"Chimes of Freedom"には、Dave Matthews Bandのライブ・ヴァージョンで、この曲が収められています。それを聴きながら、歌詞を訳してみました。


All Along the Watchtower

「ここから抜け出す術はあるはずだ」 “There must be some way out of here”
道化は盗人にそう言った Said the joker to the thief
「ここは混乱しすぎている “There's too much confusion
俺には安心できない I can't get no relief

商売人、奴等は俺のワインを飲み Businessmen, they drink my wine
農夫は俺の土地を掘っている Plowmen dig my earth
この辺りで気付くものはいない None of them along the line
こいつにどれくらい価値があるかを」 Know what any of it is worth”

「興奮する必要はない」 “No reason to get excited”
盗人が、やさしく話しかける The thief, he kindly spoke
「俺達の周りには多すぎる “There are many here among us
人生を冗談と思っている奴等が Who feel that life is but a joke

しかし俺とお前は、もうそんな時期は過ぎた But you and I, we've been through that
そしてこれが俺達の運命ではない And this is not our fate
さあ、正直じゃない話はやめよう So let us not talk falsely now
もう時間は遅くなっている」 The hour is getting late”

見張塔からずっと All along the watchtower
王子達は監視を続けていた Princes kept the view
行き来する女達全てを While all the women came and went
そして、裸足のしもべ達も Barefoot servants, too

遥か遠くの場所では Outside in the distance
山猫がうなっていた A wildcat did growl
二人の馬乗りが近づき Two riders were approaching
そして風がうなり始めた The wind began to howl

- Bob Dylan -






 訳詞をするにあたって、このサイトの記事を参考にしました。この歌詞が会話形式のパートと、状況を表したパートに別れていることは、ここの文章で初めて気付かされました。上記の英文は、それに基づいて会話部分にカッコを加えています。

 この歌詞については、旧約聖書のイザヤ書との類似が、評論家などから指摘されています。その該当部分を、こちらのサイトから転載してみます。

 21:5 彼らは食卓を設け、じゅうたんを敷いて食い飲みする。もろもろの君よ、立って、盾に油をぬれ。
 21:6 主はわたしにこう言われた、「行って、見張りびとをおき、その見るところを告げさせよ。
 21:7 馬に乗って二列に並んだ者と、ろばに乗った者と、らくだに乗った者とを彼が見るならば、耳を傾けてつまびらかに聞かせよ」。
 21:8 その時、見張びとは呼ばわって言った、「主よ、わたしがひねもすやぐらに立ち、夜もすがらわが見張所に立っていると、
 21:9 見よ、馬に乗って二列に並んだ者がここに来ます」。彼は答えて言った、「倒れた、バビロンは倒れた、その神々の像はことごとく打ち砕かれて地に伏した」。

 ふむ、なるほど、「見張り」「馬に乗って二列に並んだ者」など、連想させるものが確かにあります。聖書の知識に疎いわたしには、その関連性が何を意味するのかは、ちょっと分かりかねますが。

 それにしても、とても映像的な歌詞です。The JokerとThe Thiefという二人が話し合い、そして城を目指す。城では侵入者を見つける為、見張塔から警戒が行われている。ヤマネコと風のうねりは、何か災いの前兆なのか。そして二人の目的は何なのか。

 Dave Matthews Bandのヴァージョンに関しては、ギターのカッティングが独自のグルーブを生み出し、なかなかに個性的なカヴァーになっているように感じます。CDに収められたのは95年のライブと比較的古いものですが、この曲はライブの定番として、今でも頻繁に演奏されているようです。

 上記貼り付けた映像は、2009年の"Hard Rock Calling"での模様です。このDave Mattews Bandの演奏の後、DVDとしてもリリースされたBruce Springsteenのライブが行われた訳です。この場所に居たわたしには、とても懐かしい映像でした。

 Dave Mattews Bandの演奏は、この場で初めて聴いたのですが、その独特な演奏にとても驚きました。もう少しカントリー寄りというか、典型的なアメリカン・ロック的なサウンドだと勝手に想像していたのですが、ジャム・バンド的とも言えるグルーブ感溢れる、思わず体が動いてしまうサウンドで、本当に圧倒されました。

 この日演奏された'All Along the Watchtower'のことも、よく覚えています。その場では気が付かなかったのですが、「天国への階段」も挿入していたのですね。Bruceへの期待感もしばし忘れ、このサウンドに身を委ねていたことを、この前のことのように思い出します。

 彼らは現在のPearl Jamのように、アメリカでは絶大な人気がありながら、日本での人気は殆どないという、非常に嘆かわしい状況です。今のところ来日公演も実現していません。フジロックのような場所が一番似合うと思うのですが、何とか早く日本でもその価値が分かる状況になって欲しいものです。

DMB.jpg

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Simple Twist of Fate

2012.02.01

category : ボブ・ディラン

 人権擁護団体であるアムネスティ・インターナショナルの50周年記念として、先日Bob Dylanのカヴァー集が発売されました。日本盤が出てないからか、あまり音楽ニュースにも取り上げられていないようですが、これ、かなり豪華なメンバーで見逃せません。それにDylan以外は全て未発表のカヴァーです。アーティストは下記アムネスティのサイトで確認下さい。

Amnesty International

 最年長は92歳のPete Seegerから、果ては19歳のMiley Cyrus(!)まで、ベテランから若手まで豪華な顔ぶれです。

 そして驚きなのはその価格!、CD4枚組というボリュームなのに、2500円前後!いやあ、このCDの売り上げもアムネスティの活動に生かされることもあって、皆さんノーギャラなのでしょう。おかげでこの低価格、一杯聴けて社会貢献にもなる、嬉しい一枚です。

 そんなボリュームたっぷりの盤なのでまだ全部聴けてないのですが、その中から気に入ったものを何回かに分けて紹介したいと思います。

 まずは、もうElvis Costelloの奥方などという紹介も不要な、ジャズ・ヴォーカルの歌姫、Diana Krallの歌うこの曲を。


Simple Twist of Fate

二人は共に公園で座っていた They sat together in the park
夕闇が深く陰る頃 As the evening sky grew dark
彼女のまなざしは彼を射抜き、骨をもゆさぶった She looked at him and he felt a spark tingle to his bones
とたんに彼は孤独を感じ、ちゃんとした人間になれることを願い It was then he felt alone and wished that he'd gone straight
そして運命のちょっとした悪戯を恐れ、目を光らせた And watched out for a simple twist of fate.

二人はそれぞれに、古い水路を沿った They walked alone by the old canal
わたしの記憶では、少し混乱していたようだ A little confused I remember well
そしてネオンの輝く奇妙なホテルに立ち寄り And stopped into a strange hotel with a neon burning bright
夜の熱気が彼を打った、貨物列車のように He felt the heat of the night hit him like a freight train
運命のちょっとした悪戯を乗せて Moving with a simple twist of fate.

どこか遠くでサックスが聴こえる A saxophone someplace far off played
彼女がアーケード沿いを歩く頃 As she was walking on by the arcade
眩い光がブラインドから差し込む中、彼は目覚めた As the light bust through a-beat-up shade where he was waking up
門の前で彼女はコインを落とす、盲人のカップの中に She dropped a coin into the cup of a blind man at the gate
そして忘れた、運命のちょっとした悪戯のことを And forgot about a simple twist of fate.

目が覚めると、部屋は空っぽだった He woke up the room was bare
彼女は何処にも見当たらなかった He didn't see her anywhere
彼は自問する、窓が広く開け放たれていることも気にせず He told himself he didn't care pushed the window open wide
人に説明出来そうにない、空白を心に感じていた Felt an emptiness inside to which he just could not relate
運命のちょっとした悪戯がもたらしたものを Brought on by a simple twist of fate.

彼は秒針の音を耳にして He hears the ticking of the clocks
しゃべるオウムと共に歩く And walks along with a parrot that talks
水夫が群れる海辺の波止場で、彼女を捕らえる Hunts her down by the waterfront docks where the sailers all come in
どれだけ待たされても、きっと彼女はまた彼を選ぶだろう Maybe she'll pick him out again how long must he wait
運命のちょっとした悪戯が、またもう一度 One more time for a simple twist of fate.

人は私に言う、それは罪だと People tell me it's a sin
知りすぎ、感じすぎることは To know and feel too much within
彼女がわたしの双子だと信じてるが、指輪はなくなった I still believe she was my twin but I lost the ring
彼女は春の生まれだが、わたしはもっと遅いんだ She was born in spring but I was born too late
それを全部、運命のちょっとした悪戯のせいにして Blame it on a simple twist of fate.

- Bob Dylan -



 この抑揚を押さえ、感情を堪えるような歌い方は、この曲にとてもよく似合います。心に沁みる、良い演奏です。ああ、素敵なシンガーですね、彼女は。

 この曲は名盤の名高いアルバム"Blood on the Tracks"の一曲。やはりこのアルバムはアーティストにも人気なのか、計5曲もカヴァーされています。

 訳詞をしてみて、改めてじっくり歌詞を見ましたが、なかなか解釈が難しい歌ですね。ひとつのカップル、その彼と彼女。彼女は彼の元を離れ、彼はそれを追う。そんな様をわたしは側で見ている。わたしは彼女に惹かれているが、ものにならないことを分かっている。そんな構図でしょうか。それとも、そんなストーリーのまま見てはいけない??まあ、Dylanの歌詞は考えすぎるとキリがないので、その辺は曖昧なままにしときましょうか。

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Shelter from the Storm (Again)

2011.04.02

category : ボブ・ディラン

 人生のある時、苦行の日々に
 漆黒こそ美徳で、道がまだ泥まみれだった頃
 私は原野よりやってきた、形のない生物として
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 この道をまた抜ければ、君も一息つける
 彼女には最善を尽くすつもり、それは間違いない
 鋼の目をした死がはびこる世界、温もりの為に戦う男たち
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 私たちの間に会話は無く、それは少々危険な問題だった
 未解決のままのもの、全てにおいてそこが焦点となる
 想像してみよう、常に安全で温もりのある場所を
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 私は疲労で燃え尽き、熱狂の中で埋葬され
 藪の中で毒を受け、追跡の手に打ちのめされた
 鰐のように狩られ、小麦畑で踏みつけられた
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 突然、振り返るとそこに彼女がいた
 手首には銀のブレスレット、そして髪には花飾り
 しなやかに私に近づき、私の茨の冠を外した
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 二人の間には壁がある、何かが失われてしまった
 確かにその通り、十字を切るよ
 思い起こすと、全てがずっと忘れていたあの朝から始まっている
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 さて、代理人は毅然と歩き、説教師は馬上にまたがる
 でもそれは大したことじゃない、破滅こそ問題だ
 一つ目の葬儀屋が、空しくラッパを吹く
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 生まれたての赤子が、早朝の鳩のように泣き叫ぶのを聴いたことがある
 そしてぼろぼろの歯を持つ老人が、愛もなく立ち尽くす
 男よ、お前の質問を私は理解しただろうか、もう望み薄で絶望的なのか?
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

 (高台の小さな村で、人々が私の服に賭けている
 私は救いを乞うが、やつらから得たのは致死量の一服
 自らの純粋さに祈ったが、受けたのは軽蔑ばかり
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」)

 さて、私はいま他所の国に住んでいるが、次の国境を抜けるつもりだ
 美が剃刀の上を歩く、いつかそれをものにしてやる
 もし時計の針を戻せるならば、神と彼女が生まれた時間へと
 「おいで」彼女は言った、「嵐からの隠れ場所を提供するわ」

  - Bob Dylan -

チャリティ・アルバム"Songs for Japan"には様々な世代のアーティストの楽曲が収められています。Bruceは'Human Touch'ですが、ふむふむ。

Bob Dylanは'Shelter from the Storm'が収録されていますが、まあ、企画に沿ったタイトルの曲ではあります。Lady Gaga目当てに買うであろう女子が、こういう曲を聴いてどういう感想を持つのでしょうか?少しでも「いいな」と思う人が居ると嬉しいですね。

この曲については、去年の来日の際に、こんな感じで一度記事にしています。検索サイトからこの記事に来ている方が結構居るようなのですが、その方々の検索は"shelter from the storm 訳"というような検索内容が多いようで、皆さん訳詞を探して来られています。ああ、このページは訳詞を載せたのではないんだよなあ、と前から少々心苦しくなっていたので、今回のアルバム収録がいい機会と和訳してみました。

しかしながら、ここまで自信のない訳も初めてです。訳していて、何のことだかさっぱり分からんのです…。とんでもない解釈違い、ものすごい誤訳をしているのではないか、と最後まで不安に駆られながら、とりあえず最後まで訳してはみたものの…。

個人的にはDylanはそんなに深く歌詞の意味を考えず、何となくの雰囲気で聴くのがいいかと思っておりますので、そんな感じで、おぼろげなイメージを思い浮かべる助けに、上の訳詞が役立てば嬉しいです。

Dylanの諸々の演奏は、前の記事であらかた紹介してしまったので、秀逸なCassandra Wilsonのヴァージョンを一緒に貼ります。

ではこの週末、久しぶりに"Blood on the Tracks"でも聴くか。

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