Spin the Black Circle

アナログレコード鑑賞記を中心に、映画や本など興味の向くままに語る、40代オヤジの独り言

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Till the End of the Day / Where Have All the Good Times Gone

2013.03.02

category : キンクス・シングル盤

Kinks Singles UK No.9

Till the End of the Day / Where Have All the Good Times Gone
1965/11/19 UK Pye 7N 15981
Matrix 7N 17981 A-1 △ H / 7N 17981 B-1 △ H


TTEOTD01.jpgデビューから全英チャート1位2枚を含む5枚のトップ10シングル、そしてアルバム2枚を共に全英3位に送り込む、上々な成功を収めていたザ・キンクス。しかし、そんな成功の中制作されたサードアルバムですら、たった4日間のレコーディング時間しか掛けられていないことに、当時の慌ただしい状況が見て取れるようです。

そんなアルバム”The Kinks Kontroversy”は、バンドの飛躍を感じられる充実作となりました。レコーディングのメンバーで特筆すべきなのは、しばらくバンドのスタジオ・レコーディングを支え続けるニッキー・ホプキンズの初参加と、セッション・ドラマーのクレム・カッティーニの起用でしょうか。前作”Kinda Kinks”では全てミック・エイヴォリーにドラムを任されていたのですが、どうして今作ではまたセッション・ミュージシャンを起用することになったのか、ちと謎です。

とはいえども、数々のヒットシングルのドラムを叩き、レッド・ツェッペリンのドラマー候補にもなったクレム・カッティーニが、この時点でキンクスの歴史にも関わっていたことは、英国ロック史の1エピソードとして注目すべきことかもしれません。このアルバムでも、多くの曲で聴かれるその堅実で小気味良いドラムは、本作の魅力に一役買っていると言えるでしょう。

TTEOTD02.jpgそんなクレム・カッティーニのプレイは、アルバムからシングルカットされた’ Till the End of the Day’でも聴くことが出来ます。手数は少ないが力強いスネア、そしてバスドラとスネアのコンビネーションなどで、その的確なプレイが映えます。

個人的な想像ですが、アップテンポでパワーコードが炸裂するこの曲に、’You Really Got Me’のようなヒットポテンシャルを感じたシェル・タルミーが、カッティーニの起用を決めたのではないでしょうか。そして平行していたアルバムの録音にも、なし崩し的に参加したのだと思うのですが。

あえて’You Really Got Me’路線から外れたシングルで勝負し続けたのですが、この曲で約1年ぶりにパワーコード全開のロックチューンがシングルA面として帰ってきました。しかし1年前と比べ、複雑になり陰影が付いたコード進行、’She Loves You’のあの印象的なエンディングに影響を受けているように思えるイントロとアウトロなど、そのサウンドには確実な進化が感じられます。

そしてこの曲には、デイブ・デイヴィスによる、魅力的なギターソロがあります。初期の若さで突き進んだプレイとは違い、ワイルドでありながらも、しっかりした構成のクレバーなプレイ、その短いながらも印象的なソロは、キャリア屈指のベストプレイのひとつだと思います。デイブこの時19歳、凄いです!

そのサウンドの進化に反して、歌詞はやや退化しているような気も。「一緒に居よう、日中も、そして夜もずっと」と歌われた’All Day and All of the Night’と比較すると、「二人で楽しもう、朝から、そして一日が終わるまで」という歌詞は新鮮味に欠け、不良度も減退している感があります。レイ・デイヴィスはもしかしたら、騒動に明け暮れるツアーの日々などで、そういったワイルドさに辟易してこんな凡庸な歌詞を書いたのかもしれません。とはいえ、そんな歌詞の弱さは、強力なサウンドが十分補っており、全体としてはシングルとして十二分な曲となっていますが。この曲がチャート9位止まりだったのが、どうにも解せません。

余談ですが、”Baby, I feel good…”という出だしは、この曲がレコーディングされていた頃にちょうどリリースされていた、ジェームス・ブラウンのシングル’I Got You (I Feel Good)’に似てると思うのですが。意図的か分かりませんが、ここからアイデアを拝借したのでは、と想像したりしています。

TTEOTD03.jpgカップリングに選ばれたのは、これまたアルバム収録曲である’Where Have All the Good Times Gone’。デイブのダウンストロークのエレキ、そしてレイのアコースティックによるカッティングがブレンドされたリフが印象的なナンバー。サビのデイブのコーラスも、どこか殺気立った雰囲気を盛り立てています。

「もし僕が間違ったのだとしたら、この落ち込みは一体いつまで続くのか。教えてくれないか、あの良い日々は何処に行ってしまったのか」この現状を憂う視線は、この先レイが何度も繰り返すテーマですね。

この曲といえば、デヴィッド・ボウイがカヴァーアルバム”Pin Ups’で取り上げたことが有名でしょうか。そのヴァージョンは原曲を大きく崩さない、ストレートなアレンジでした。そしてヴァン・ヘイレンによる、こちらはオリジナリティを感じさせるカヴァーも忘れ難いものがあります。そういうカヴァーの遍歴があるからか、80年代以降に頻繁に演奏されるようになり、今でもレイのステージでは定番のナンバーです。

入手したシングルはややビリ付きがありますが、迫力の音をしっかり聴かせてくれます。どちらの曲もこれぞキンクス、その魅力が凝縮された盤でこれも必須です。










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Tired of Waiting for You / Come On Now

2013.02.23

category : キンクス・シングル盤

Kinks Singles UK No.5

Tired of Waiting for You / Come On Now
1965/1/15 UK Pye 7N 15759
Matrix 45XX 1759 A-2 / 45 XX 1759 B-1 (手打ち刻印)

KTOW01.jpg‘You Really Got Me’、’All Day and All of the Night’とヒットを連発し、成功を収めた1964年も終わりました。年をまたいでチャート1位に居座っているのは、ザ・ビートルズの’I Feel Fine’。印象的なフィードバックのイントロ、そして押しの強さのない軽快なサウンド、このビートルズのちょっとした変化に世間が彩られる中、このシングルはリリースされました。

この’I Feel Fine’がチャートを降下してゆく1月末にチャートインを始め、イギリスでもヒットしていたライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち(You’ve Lost that Lovin’ Feelin’)」を蹴落として1位に輝いたのは、NME誌2月12日号のことでした。前曲’All Day and All of the Night’で逃した1位を、早くも奪還したことになります。

レイ・デイヴィスの「エックス・レイ」を読んでいると、この曲のチャートに関して興味深い記述があります。バンドはマンフレッド・マンなどと共に極東ツアーに出ていたのですが、レイは電報でこのシングルのチャートについて数度連絡を受けています。

まずはチャート2位の連絡(「初登場で2位」と書かれていますが、これはレイの思い違いでしょう。NMEでもキャッシュボックスでも、もう少し下のランクインからスタートしてます)。その時レイは滞在したインドに衝撃を受け、「遠いイギリスのチャートなどどうでもいいことにように思えた」と書いています。

そしてシンガポールで受けた、チャート1位の連絡。レイはウェイターにシャンペンを振る舞い、そして一緒にツアーをしていたマンフレッド・マンのシングル(‘Come Tomorrow’)にチャートで勝ったことを「個人的勝利」と喜び、「もし立場が逆だったら、わたしは大荒れだったことだろう」と述べています。

「どうでもいいこと」「逆だったら大荒れ」この相反する感情、達観した眼差しと、プライドの高さこそ、レイ・デイヴィスという個性を形成している大きな要素だと思います。こういった要素は、既にこのデビュー間もない頃から、当然ながらあった訳です。

KTOW02.jpg「おまえの人生だ、好きにやればいいさ。でもお願いだから、俺を待たせ続けるのは止めてくれ。もう待つのは疲れたんだよ」と歌われる’Tired of Waiting for You’は、そんなレイの性格が歌詞に出た、初めての楽曲かもしれません。ビートルズに代表されるような、当時典型的だった”You & Me”ソングでありながらも、そこには明確な自己主張があります。

「疲れた」ということを歌にするのも、当時としては相当斬新だったのでは、と伺えます。ラブソングの題材としては、「幸せ」と「悲しみ」、他には「嫉妬」などあるかと思いますが、この曲の歌詞はそうひとつに割り切れないものです。こういった複雑な題材が、ロック・ミュージックをより深みのある世界へと導く要素となったことでしょう。「エックス・レイ」では、この曲の歌詞がサウンドやコーラスの録音の後に、スタジオで半ば即興的に書かれたとあります。いやあ、凄いですね。

サウンド的にも、このアンニュイでダウナーなイメージは、当時相当なインパクトを与えただろうと思います。デイブ曰く「この曲は何年も前からあったもの、レイと僕とでよく演奏していたインストだったんだ。それに歌詞を付けて録音したんだよ」この発言が確かなら、この曲は前年のヒットシングルよりもずっと前から、原型があったことになります。

最初の録音は1964年8月24日、まだ’All Day and All of the Night’も存在していなかったセッションでのこと。タイトルは仮に’So Tired’とされ、歌詞が出来ていなかったのでベーシック・トラックのみが録られました。ドラムスに‘You Really Got Me’同様ボビー・グレアムが起用されていますので、最初からシングルにするつもりで録音されたと思われます。ヴォーカルは翌25日、アルバム用セッションで録られたようです。

こうして完成されたトラックは、シングル候補としてストックされます。シングル候補としては十分だったと思うのですが、もっとアップテンポで強力なのもをという判断が、’All Day and All of the Night’という強烈なシングルを生むことになります。

そのシングルのヒットの後、年の瀬である12月29日に次のシングル用セッションが組まれます。その時に録られた曲’Don’t Ever Change’は、’You Still Want Me’などを思い起こさせる、微妙な出来のマージービート・スタイルのナンバー。これではシングルとしては弱いという判断からか、ストックされていたシングル候補’Tired of Waiting for You’に再び目が向けられます。この追加録音で行われたのは、デイブのギターのオーバーダブ。前シングルで完全に自らのスタイルとなった強力なリフを、この曲に追加し、ようやくシングルとして十分な出来と判断されました。

KTOW03.jpgカップリングとして収録されたのは、デイブがリードを取る’Come On Now’。前2作のカップリング同様、ダンサブルなナンバーが採用されました。当初からデイブに歌わせることを前提に書かれたナンバーだそう。ドラムはミック、レイの妻ラナなどがコーラスで絶妙な煽りを担当しています。こういったグルーブ感たっぷりのサウンドは、バンド初期の大きな魅力のひとつです。ボックスセット”Picture Book”には何故か、デイブが笑って何度もヴォーカルをやり直すテイクが収められています。恐らく、初期のレコーディングのアットホームさを聴かせたかったのかな、と想像されます。

入手した盤のマトリックスはA2/B1、何枚か入手しましたがA1の盤はありませんでしたので、恐らくA2が初回盤だと思われます。’Tired of Waiting for You’はビリ付きが響きやすい曲のようで、なかなか良好に響く盤に出会えません。手元に残している盤はその中でも最良のものなのですが、それでもビリ付きが多少気になってちょっと残念です。それでもかなりの迫力、このドローンのような重厚な響きは、モノ針で聴くオリジナルシングルならではの味わいを聴かせてくれます。アナログで聴いて、今一度サウンドを再評価出来た曲でもあります。’Come On Now’の臨場感溢れるサウンドも、アナログでその魅力を再確認しました。

’Tired of Waiting for You’は、キンクスの新たな一面を獲得し、今後のバンドのサウンドが多彩な方向に向かう試金石となりました。前シングル’All Day and All of the Night’の紹介時に、「次にもう1曲同じような激しいナンバーをリリースしていたら、ストーンズを蹴散らす人気を獲得していたかも」と書いたのですが、しかし、このシングルがチャートから拒否されていたら、果たして今のキンクスがあっただろうか、そんなことも考えてしまいます。それ程までに、そのネガティブでダウナーな曲は、今後のバンドの悲喜こもごもの道程の起点として、その輝きを放っています。




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All Day and All of the Night / I Gotta Move

2013.02.15

category : キンクス・シングル盤

Kinks Singles UK No.4

All Day and All of the Night / I Gotta Move
1964/10/23 UK Pye 7N 15714
Matrix 45XX1714A-1T / 45XX1714B-1T


ADAATN01.jpgデビューから2枚のシングルがチャートをかすりもせず、バンドとして崖っぷちで録音されたシングル’You Really Got Me’にて、ようやくキンクスはその名を世間に知らしめることになります。しかし、「一発屋」として終わるバンドも多いこの業界、次のシングルがヒットするかが非常に重要です。

ここで、’You Really Got Me’のリリース周辺から、次のシングル’All Day and All of the Night’のリリースまでの主な出来事を、時系列で振り返ってみましょう。

8月4日:イギリスでシングル’You Really Got Me’がリリース。
8月6日:BBCラジオの番組「トップ・ギア」で、’You Really Got Me’が初オンエア。
8月10日:パイが、バンドのLP制作をバンドに連絡。アメリカでのシングルリリースも決定。
8月11日:NMEチャートで、You Really Got Me’が22位でチャートイン。
8月16日:ブラックプールにあるオペラハウスでのライブ。ヘッドライナーはザ・ビートルズ、パフォーマーにはハイ・ナンバーズ(ザ・フーの前身)の名も。
8月18日:初LPの為のレコーディング開始。
8月24日:次シングル用として’Tired of Waiting For You’を録音するも、まだ歌詞がなくシングルとしては持ち越される。
8月25日:LP用レコーディング。ジミー・ペイジがセッションに参加。
8月31日:LP用の最終セッション。シングルB面となる’I Gotta Move’もこの日に録音。
9月1日:北米でシングル’You Really Got Me’がリリース。ビルボード誌に1面広告も。
9月8日:シングル用レコーディング。録音された’I Just Want to Walk With You’と’Don’t Ever Let Me Go’は、どちらもシングルには採用されず。
9月10日:NMEで’You Really Got Me’が1位を獲得。パイ本社で1位記念パーティが行われる。
9月12日:レコード・ミラーでも’You Really Got Me’が1位。
9月19日:北イングランドでのライブの合間に、レイ・デイヴィスが次シングルとなる’All Day and All of the Night’を書く。
9月20日:ライブの合間に、’All Day and All of the Night’をバンドでリハーサル。
9月24日:’All Day and All of the Night’のレコーディング。夜にはライブがある為、3時間しかないセッションだった。
10月2日:ファースト・アルバム”The Kinks”、イギリスでリリース。
10月7日:ビリー・J・クレイマー&ダコダズをヘッドライナーとしたパッケージ・ツアーに参加。他にはヤードバーズなど。18日まで。
10月23日:シングル’All Day and All of the Night’、イギリスでリリース。
11月6日:ジェリー&ペースメーカーズをヘッドライナーとしたツアーに参加。12月6日までの長丁場。参加アーティストには、モータウンのマーサ&ヴァンデラスや、ジム・ロッドフォードが在籍していたマイク・コットン・バンドも。
11月26日:メロディ・メーカー誌で’All Day and All of the Night’が最高位2位を獲得。ちなみに、その時の1位はザ・シュープリームスの’Baby Love’。

この期間には書き出さなかったライブ、メディア出演、インタビューなども多く、相当な忙し具合だったことが伺えます。

’You Really Got Me’がチャート1位になった段階でも、まだ次のシングルが決まっていなかったことが、この時間軸から分かります。数度のセッションではシングル曲をものに出来ず、レイには相当のプレッシャーが掛かっていたことでしょう。それら没曲のひとつ’Don’t Ever Let Me Go’を聴く限り、’You Really Got Me’同様、パワーコードを使ったロックナンバーを次のシングルにというのは、恐らく年頭にあったのだと思います。


ADAATN02.jpgそんな結果生まれたシングル’All Day and All of the Night’は、チャート1位は逃したものの、バンドの勢いを決定づけるヒットとなりました。そして彼らがヴィニール盤に刻んだワイルドさは、ザ・フーを初めとする多くの模倣を生むことになります。

あくまでもリフとして鋭利な印象を持つ’You Really Got Me’と異なり、’All Day and All of the Night’はコードの循環性が大きなうねりを生んでおり、踊れるサウンドとしても機能しています。その部分が、この曲のリフが模倣をしやすい理由だったのかな、と考えます。

「ねえ、一緒に居ておくれよ、一日中、そして夜もずっと」という歌詞が、当時問題にならなかったのが少々不思議です。後にストーンズの「一緒に夜を過ごそう」という歌詞がエド・サリヴァンの出演時に問題になったことを思うと、このキンクスの歌詞も槍玉にあがってもよさそうなのですが。

‘All Day and All of the Night’の録音パーソネルには、’You Really Got Me’同様ドラムにボビー・グレアムが起用され、ミック・エイボリーはタンバリンに回されています。その他、ペリー・フォードがピアノ、ジョニー・B・グレイトというセッションマンがコーラスに起用されています。

ADAATN03.jpgそんな、なかなかシングルでドラムを叩かせてもらえないミックですが、ようやくB面曲’I Gotta Move’で、そのドラムが採用されます。

’I Gotta Move’は91年のEP盤”Did Ya”にライブテイクが収められたことでも分かるように、活動停止間際までライブのレパートリーに加えられていた、ダンサブルな初期の隠れた名曲。ここでのミックのドラムを聴くと、A面でなかなか採用されなかったのが分かる気がします。いわゆるロック的なタイトさではなく、ジャズがバックボーンにあったことが感じられる、そんな小刻みで下地を支える堅調さが伺えるプレイです。派手さが要求されるシングルでは、なかなか出番をもらえなかったことも納得です。

そして、この曲の真の主役は、ベースのピート・クウェイフでしょう。サビになると自由なフレーズで盛り上げる、その奔放さがこのバンドの粗雑さを更に強めています。彼がバンドの初期、ライブに明け暮れていた日々に重要なメンバーだったことが、この曲のプレイで感じられます。

タイトルである、’I Gotta Move’の”GOTTA”という表記も気になります。というのも、前年に出たビートルズのアルバム”With The Beatles”で、’You’ve Really Gotta Hold On Me’の表記が、すぐさま”Got a “に変更された為です。”GOTTA”が汚い言い回しであるという考えが、まだまだ強かった時代だったのでしょう。

「一晩中一緒に」そして”GOTTA”、その言い回しは多分このキンクスというバンドが、相当粗野で不良であるというイメージに繋がったことでしょう。そのイメージから競争相手になるのは、恐らくあの不良バンド、ザ・ローリング・ストーンズ。

既に4曲の全英1位をものにしていたビートルズはともかく、数か月前に’It's All Over Now’でようやく全英1位を手にしたばかりのローリング・ストーンズとは、この時点では同等のヒットを放ち、人気も拮抗していたはずです。そしてそのワイルドなイメージ、次にもう1曲同じような激しいナンバーをリリースしていたら、ストーンズを蹴散らす人気を獲得していたかもしれません。

しかし、ここが運命の分かれ道でしょうか。次に選ばれたシングルは’Tired of Waiting For You’。この気だるいネガティブなナンバーが、バンドの将来を奇妙な方向に導いてゆきます。そのバンド名にふさわしく、どこかひねくれ、ねじれた方向へと。

さて、シングル盤で聴く‘All Day and All of the Night’。入手した盤はあまり盤質が良くないですが、そんなことはあまり気にならない、逆にこの曲のワイルドさを後押ししているような、そんな強烈な音が迫ってきます。

’You Really Got Me’ももちろん大好きですが、やっぱりこの曲のほうが断然好きです。この曲はいつ聴いても、自らの内なるもの、衝動みたいな塊がムクムク起き出して、どこかに飛び出してしまいそうな、そんな心持になります。蒸気機関車の機関室で、一生懸命石炭をくべて、機関車が煙を上げドンドン加速してゆく、そんなイメージでもあります。この加速感、爆発感こそ、わたしがロック・ミュージックに求めるもののひとつです。このシングルには、それがいつまでも失われず、針を落とせば常にこちらに突撃してきます。これこそ、ロックンロール。







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Plastic Man / King Kong

2011.10.16

category : キンクス・シングル盤

Kinks Singles UK No.21

Plastic Man / King Kong
1969/03/28 UK Pye 7N 17724
Matrix 7N17724 A-2△G / 7N17724 B-1△G

plastic man 011969年3月初旬に録音、同月末にスピード発売されたシングル。4月に脱退するPete Quaifeの、シングルとしては最後の録音となりました。

音楽誌などの評価は賛否両論の中、概ね好意的でヒットを見込める意見が多かったのですが、BBCが'Plastic Man'の歌詞の"Bum"(英国の俗語で「尻」)によって放送禁止にしたことがたたり、全英31位とふるわない結果となりました。

カンパニー・スリーブはレギュラーの青。


plastic man 02'Plastic Man'はRayらしい、'Dedicated Follower Of Fashion'と似たようなシニカルな歌詞の乗るナンバー。

 あの男は通りの角に住んでいる
 近所の人は言う、彼は面倒見が良くて優しいと
 だって彼は絶対毒舌を言わないし、いつも握手をしてくれる
 でも皆は知らない、彼がプラスティックで出来てることを


「プラスティックの心臓にプラスティックの歯と足指(彼はプラスティック・マン)~」といった流れで、人工的で感情の薄い人を揶揄する歌詞が続きます。個人的には、比喩が単純であまり面白みのない歌詞だと思えます。

サウンドはカントリー風味のギターがリードする、前アルバム"Village Green Preservation Society"からの流れを少し感じさせるもの。ただ、バンドサウンドとしては激しさが見え、次作"Arthur"で表出するラウドな要素も垣間見える、2枚のアルバムを繋ぐサウンドだと感じます。

シングルは当然ながらモノ・ミックスですが、新加入したJohn Daltonがベースをオーバーダブした、ステレオミックスも後日製作され、"Star Parade"というオランダのコンピレーションに収められました。現在では"Arthur"のCDボーナスとして容易に聴けます。

この曲、ボックスセット"Picture Book"には収められなかったことを見ると、Rayはこの曲あまり気に入っていないのかもしれません。ライブでも全然演ってないですし。

plastic man 03'King Kong'も'Plastic Man'同様の社会的批判のナンバーですが、こちらは自分を大きく見せたがる、欲深い人を揶揄したもの。訳詞は摂訳を参照下さい。

1969年といえば、1月にLed Zeppelinのファーストが発売され、本格的にハードロックという潮流が盛り上がる年ですが、この曲にもその流れが感じることが出来、それはアルバム"Arthur"にも確実に吹いてゆきます。曲としてはちょっと弱いかなと思うのですが、そういう時代性の中で聴くと興味深い曲ではあります。









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See My Friend / Never Met a Girl Like You Before

2011.05.01

category : キンクス・シングル盤

See My Friend / Never Met a Girl Like You Before
1965/06/30 UK Pye 7N 15919
Matrix 7N15919 A1 △ H / 7N15919 B2 △ H

seemyfriend01.jpg5月に発売された前シングル’Set Me Free’が全英8位と微妙に振るわなかったからか、1ヶ月後に間髪入れず発売されたシングル。しかし、これも全英11位と振るわない結果に終わりました。しかし、’See My Friend’はラーガ・ロックの最初期の1曲として、後世に名を残すこととなります。

スリーブはいつものPyeカンパニー・スリーブ。






seemyfriend02.jpg‘See My Friend’についてRayは、短期滞在したインドのボンベイ(今はムンバイですね)にて聴いた、地元の猟師が口ずさむ単調なメロディにインスパイアされたと語っています。
そのインド風旋律を実現するためにシタールを用いることも考えられましたが、「シタールを弾けるものなんて誰もいない」というシェル・タルミーの駄目出しによって頓挫、12弦ギターをアンプに近づけて弾いて、フィードバックでその雰囲気を出すこととなりました。
レコーディングは4/13と14に、’Set Me Free’などと同様に録音が試され、5/3に本式のレコーディングが行われました。デラックス・エディションのCDには別テイクが収録されましたが、どちらの日のテイクか不明のようです。この収録されたテイクはシングルとなったテイクとほぼ同様のサウンドであり、もしこのテイクが4/13(又は14)のものであれば、最初からこのアレンジは完成していたと考えられます。
The Beatlesが’Norwegian Wood’で録音にシタールを使用したのは、このシングルが発売された3ヵ月後。それを思うと、この曲の革新性は揺るぎないものと断言していいかと思います。

歌詞は恋人に去られた男が、友達に会いに行くという話。同性愛的だという指摘はリリース当時からあったようで、Rayも特にそれを否定していないとのこと。確かに、「彼女は去った/彼女以外に愛するものは居ない/河を渡った向こうに居る/僕の友達以外は」という歌詞は、かなりそれっぽい。この部分でも、この曲はかなり革新的と言えるのかもしれません。

seemyfriend03.jpg‘Never Met a Girl Like You Before’はややブルージーなビートナンバー。「お前みたいな娘には会った事がないよ」と繰り返し歌われる、少々単純なナンバー。あまり惹かれる曲ではなく、B面用のやっつけナンバーかな、と感じます。B面にも名曲の多いKinksですが、この曲は少々弱いかな。とは言えども、Daveのソロなどサウンドには聴くべきところもあります。






入手したシングルはややビリ付きがありますが、非常に迫力のあるサウンド。’See My Friends’のドローンのようなギターの臨場感、もの凄いです。これはシングル盤で聴く価値が十分あります。やっぱりオリジナル・シングルは凄いなと思わせる、罪作りな1枚です。




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