Spin the Black Circle

アナログレコード鑑賞記を中心に、映画や本など興味の向くままに語る、40代オヤジの独り言

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2011年極私的この一曲

2012.01.08

category : ニック・ロウ

nl omNick Loweの"The Old Magic"も、2011年後半ずっと聴き続けた、素晴らしいアルバムでした。

このアルバムはアナログ盤で入手しましたが、この盤、嬉しいことに45回転でプレスされています。12インチのフルアルバムで、45回転を採用しているアルバム、初めてです。カッティング技術の進化があっての技なのでしょうか?それとも、昔から時折あったことなのでしょうか?よく分かりませんが、さすがの45回転、当然ながら芳醇な心地よい音がします。そもそもヴィンテージな音を感じさせるサウンドなので、アナログとの相性はバッチリです!プレイヤーのある方は、是非アナログ盤で聴かれることをおススメします。

そんなアルバムの中に収録されている1曲、'House for Sale'が、初めて聴いた時からずっと頭に残り続けています。

この曲をアルバム発売前にステージで聴いたのは、家を失う男について歌った、The Kinksの曲を訳したすぐ後のことでした。些細なことではありますが、少し嬉しい符合でした。

歌詞はNick Loweとしてはおなじみの題材の、男女の別れをテーマにしたもの。"House for Sale"は日本では「売家」という意味の文言で、家の前に立てかけてある看板などでお馴染みのものです。彼がこの曲のソングライティングについて語っているものがありましたので、その部分を訳してみます(元はこちら)。

インタビュアー:この曲について何かありますか?、この曲を書いた裏話などは?

Nick:全くないよ、本当に。本当のところは、通りを歩いていて、"House for Sale(売家)"って書かれた看板を見たんだ、その三文字、どこでもよく見掛けるだろ、"House for Sale(売家)"ってさ。それで思ったんだ、誰か"Hose for Sale"って曲を書いた人がいただろうか、ってね。単純なことで、それがどうしてある人は家を売ったのかっていう、ささやかな曲を書くきっかけになったんだ。そう、この曲には隠れた意味なんてないんだよ、本当に。


ということらしいです。「売家」という看板を見ただけで、このような素晴らしい曲を書けるというのは、もの凄い技術です。

そんな特に意味はない歌詞らしいですが、その切ないメロディのせいもあってか、本当に胸に染む、美しい曲です。いち早くステージで聴けたのは、本当に幸せでした。


House for Sale

家を売る  House for sale
出てゆくよ  I'm moving out
ここからね  I'm moving on
鳥は飛び去ってしまったから  This bird has flown
家を売る  House for sale
メールに返信があれば、居場所は伝えよう  I'll tell you where to redirect my mail

家を売る  House for sale
中を見てみなよ  Take a look inside
ここにはかつて  This is where love
愛があったんだ  Once did reside
でも、もう消えてしまった  But now it's gone
だから俺は旅に出るんだ  And that's the reason I'll be traveling on

屋根は雨風にやられ  Well the roof has given in to the weather
窓はガタつき、きしむ  And the windows rattle and moan
ペンキは剥がれ、天井にはヒビが  Paint is peeling, cracks in the ceiling
幸せだった我が家が、どうしてこんなことに  Whatever's happened to my happy home

家を売る  House for sale
もう十分だ  I've had enough
荷物を引き取りに、ヴァンを寄越すよ  I'll send a van to get my stuff
家を売る  House for sale
ここを離れるよ、刑務所を出るかのように  I'm leaving like I'm getting out of jail

階段はもの凄く不安定で  The stairs are alarmingly shaky
絨毯は擦り切れ、ぼろぼろ  And the carpet threadbare and worn
囲いは修理が必要で  Fence needs mending
庭は手入れが必要  Garden needs tending
元通りになるには、何時までかかるやら  How soon it's become overgrown

家を売る  Oh house for sale
もう十分だ  I've had enough
荷物を回収しに、ヴァンを寄越すよ  I'll send a van to pick up my stuff
家を売る  House for sale
ここを離れるよ、刑務所を出るかのように  I'm leaving like I'm getting out of jail
ここを離れるよ、刑務所を出るかのように  I'm leaving like I'm getting out of jail

家を売る  House for sale
君に話してるんだ  I'm talking to you
もしここに時間、気配り、現金  Because with time, care, cash
平和、愛、そして理解があるなら  Peace, love and understanding
この家も新品同様になりえるんだ  It can be as good as new
家を売る  House for sale
この家を売るんだ  House for sale

- Nick Lowe - 






nicklowe1.jpg






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(What's So Funny 'Bout) Peace, Love, and Understanding

2011.08.15

category : ニック・ロウ

(What's So Funny 'Bout) Peace, Love, and Understanding、Nick Loweの代表曲として、Elvis Costelloを初めてとして多くのカヴァーのある名曲です。

しかし、多くの人が愛する程には、好きになれない曲でした。オリジナルであるBrinsley Schwarzのヴァージョンはやや仰々しすぎるように感じたし、Elvis Costelloのヴァージョンは嫌いではないけれど、自作の他の曲に比べて秀でているようにも感じませんでした。Nick Lowe自身のヴァージョンも90年代にライブで何度か聴きましたが、感銘を受けた記憶がありません。2004年にはVote for Changesのツアー・テーマのように歌われ、Bruce SpringsteenやEddie Vedderが歌うヴァージョンが聴けましたが、どう聴いても出来の悪い、何となく恥ずかしいという感想でした。

歌詞は、「平和」「愛」「理解」という理想をシニカルに捉えることに対して、「理想を掲げることのどこが悪い」と反論する内容だと思いますが、基本的にひねくれているわたしにとっては、そういうストレートさはちょっと気恥ずかしかったりしました。

悪い歌詞ではないと思いますし、曲も良いと思うのですが、どうしても好きになれない、なかなか厄介な曲として、この曲はずっとわたしの中でむず痒い存在としてありました。

そして今回のライブ、当然ながらこの曲も演るだろうと思っていましたし、それを軽く受け流す気も満々でした。しかし、今回の演奏は、そんなひねくれたわたしの心を打ち砕く、あまりに美しいものでした。

わたしには、今回の来日での演奏が、過去の本人の演奏、そして他のアーティストのカヴァーと比較して、どこか違うもの、まるで別の曲のように聴こえました。それは彼が年を重ねて、過去に見られたような少し力が入ったような歌ではなく、落ち着いたテンションで非常に丁寧に歌われていることが原因なのかもしれません。その丁寧さこそが、この歌の持つメッセージを最もダイレクトに伝える手段のように、わたしには聴こえました。

しかし、わたしがこの歌に新たな感動を覚えるのは、きっとわたし自身の感情の変化からかもしれません。

考えてみれば、このNick Loweのライブは、震災後初めて日本で観るライブでした。震災後、多くのアーティストが来日をキャンセルし、わたしも行く予定だった幾つかのライブが実現しないという、悲しい現実に行き当たりました。それは、被災地に住む訳ではないわたしにとって、実際に受けた直接の影響のひとつでした。原発事故という有事によって、音楽を楽しむという喜びが奪われた訳です。音楽というものが、そんなものに負けてしまうというのは、わたしにとって少なからずショックな出来事でした。音楽を楽しむということも、環境の変化によって容易に失われてしまうという、とても脆弱なものだったと、改めて気付かされました。

そんな中、ニューヨークで音楽を聴くという幸運に恵まれましたが、考えてみればニューヨークも、10年前の9.11の際は震災後の日本と同様の状況だった筈です。音楽なんて聴いている状況じゃないし、ニューヨークに行くことすら危ない、そんな状況だったでしょう。いかに世界は不安定なものなのだろう、マンハッタンの喧騒の中、わたしはそんなことを考えていました。

そして、久々に地元大阪で観るライブ。日本まで来てくれて、演奏してくれるということの、何と嬉しいこと。わたしはそんな幸せを思いながら、今回のライブを観ていました。そんなわたしの思いと、この曲の歌詞が、ようやく自分の中で結びついたのかもしれません。「平和」「愛」「理解」という言葉を、鼻で笑うようなことは、今のわたしには出来ません。だからこそ、この今だからこそ、この曲はゆるやかに、わたしに沁みこんでくれたのかもしれません。

Nickさん、どうもありがとう。素晴らしいライブでした。また来てくださいね。




 わたしは歩き続ける
 この邪悪な世界を
 狂気の闇の中、光を求めて

 自らに問いかける
 全ての希望は失われてしまったのか?
 もう痛み、憎悪、そして苦しみしか残されていないのか?

 こんな風に感じる時
 知りたくなることがひとつあるんだ
 平和、愛、理解のどこがおかしいのか?
 平和、愛、理解のどこがおかしいのか?

 わたしは歩いてゆく
 この物騒な時代を
 気持ちが折れそうになるんだ、時にはね

 いったい何処が一番強く
 誰が信頼出来るんだ?
 そして、調和はどこにある?

 過ぎ去ってしまったと感じる時、ただ悲しくなるんだ
 平和、愛、理解のどこがおかしいんだ?
 平和、愛、理解のどこがおかしいんだ?

 いったい何処が一番強く
 誰が信頼出来るんだ?
 そして、調和はどこにある?
 甘味なハーモニーは?

 過ぎ去ってしまったと感じる時、ただ悲しくなるんだ
 平和、愛、理解のどこがおかしいんだ?
 平和、愛、理解のどこがおかしいんだ?
 平和、愛、理解のどこがおかしいんだ?

 理解さ、兄弟たちよ
 理解さ、姉妹たちよ
 理解なんだ

  - Nick Lowe -

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Nick Lowe Live at Billboard Live Osaka 08-12-2011

2011.08.13

category : ニック・ロウ

 1. People Change
 2. Heart
 3. What Lack Of Love Has Done
 4. Ragin' Eyes
 5. Lately I've Let Things Slide
 6. Has She Got A Friend?
 7. I Trained Her To Love Me
 8. I Live On A Battlefield
 9. Indian Queens
 10. Cruel To Be Kind
 11. You Inspired Me
 12. Sensitive Man
 13. Somebody Cares for Me
 14. House for Sale
 15. Without Love
 16. (What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding
 17. I Knew The Bride

 Encore 1
 1. Only A Rose
 2. When I Write The Book
 3. Go Away Hound Dog

 Encore 2
 1. The Beast In Me


ああ、何て素晴らしいライブ。

過去のパワーポッパーな押しの強いサウンドは何処へやら、カントリー、R&B、ロカビリーなど、50sを感じさせる渋いサウンド。10年前にこのライブを観ていたら、少々退屈だったかもしれません。あのキャッチーなサウンドで演ってくれよと。

しかし、いまのわたしには、このサウンドが味わい深く沁みます。こういうものの良さが分かる時って、ああ、年を取るのも悪くないな、と嬉しくなります。

それにしても、62歳のNick Lowe。元気です。わたしが観たのは2回目でしたので、最初は少し声に疲れが見えるようにも感じましたが、それも数曲で素晴らしい声に。オープニングがこの前訳詞をした'People Change'でビックリしました。弾き語りでしたが、やはり歌詞の多いヴァージョンでした。

セットリストを見て貰えば分かるかと思いますが、どちらかというと近年の楽曲にやや比重が高い選曲。新譜からも多く演奏し(Wilcoのサポートツアーが控えているからか、「新しい曲練習しないといけないんだよ」と言ってました)、他の公演では聴かれた名曲'Raining Raining'がドロップするという、ちょっと残念な部分もありました。

その新曲がどれも素晴らしい曲、ノーザンソウル風の'Sensitive Man'や'Somebody Cares for Me'のサウンドが、何となく'Pinker and Prouder...'の頃を思い出させます。'House for Sale'の静かな雰囲気も素晴らしい。これは新譜がかなり期待できそうです!

バンドは皆派手さのない、自己主張の少ないのがかえって心地よい、ツボを得た素晴らしい演奏。'You Inspired Me'での、キーボードのGeraint Watkinsのソロには、思わず観客から拍手が起こったりしてました。こういう本当に良いものに触れる瞬間って、本当にゾクゾクっと来ます。ドラムのBobby Irwin(現在はRobert Trehernですね)の緩急の効いたドラムも素晴らしく、時々聴かせるタイトなスネアが、Cowboy Outfitの頃を思い出させます。

個人的なハイライトは、月並みですが'(What's So Funny 'bout) Peace, Love & Understanding'でした。実はこの曲、それ程好きではなかったのですが、今日のライブで、初めて心から素晴らしいと思えました。この曲については、落ち着いてから改めて書きたいと思います。こんなに感動的な演奏だとは、予想していませんでした…。

そしてもうひとつのハイライトは、Geraint Watkinsの曲を二人で歌った、'Only a Rose'です。アンコールの最初に歌われましたが、その素晴らしさにしばし呆然となり、次の'When I Write The Book'が殆ど耳に入らなかった程でした。



超ロカビリーなカヴァー'Go Away Hound Dog'で一旦降りて、最後はソロで'The Beast in Me'を。締めて1時間20分程のステージでしたが、20曲強を演奏したこともあり、満腹で大満足でした。

こんな元気さだと、また来てくれそうな気がします。去年観たDylanもそうでしたが、60代は引退するにはまだまだ早い世代ですから。気長に待ってます!

nicklowe.jpg

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Shelley My Love

2011.08.12

category : ニック・ロウ

わたしが初めてNick Loweのライブを観たのは、1992年のこと。メジャーから発売されたアルバム"Party of One"を引っさげてのツアーでしたが、バンドを引き連れる程は資金には恵まれていなかったのか、ソロでの公演でした。大阪での公演は心斎橋クラブクアトロ、ステージ側面のかなり近い位置で観たことを、ありありと覚えています。

内容は当時入手可能だったベストアルバム"Basher"の内容をなぞるかのような、代表曲を立て続けに演奏する大盤振る舞いのステージでした。大満足でありながら、隠れた名曲も演って欲しかったなあと、ちょっと贅沢な感想を持ったことを思い出します。

そんなステージの中盤で、彼はやにわにベースを手にとって、「次の曲は新曲なんだ」とこの曲をベース弾き語りで演奏し始めました。



今でもこの曲を初めて聴いた、あのステージの瞬間を覚えています。それはあまりにも感動的な、美しい演奏でした。

この曲は2年後に発売されたアルバム"The Impossible Bird"に、その美しい旋律を見事に封じ込めた演奏で収められましたが、この曲を聴くたびに、わたしはあのベースを配して歌われたあの瞬間、音楽の魔法を感じることが出来たあの空間を思い出します。

今回の公演も、アルバム発売前のライブ。聴いたことの無い、美しい旋律が聴けると幸せなのだけど。







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So It Goes

2011.08.11

category : ニック・ロウ

右はNick Loweの初期デモなどを収めたCD、"The Wilderness Years"に収録された未発表曲'So Heavy'です。非常にシンプルな曲ですが、パワー・ポッパー然とした彼の魅力が垣間見ることが出来る、憎めない小品です。エンディングで'Satisfaction'、'Sunshine of Your Love'を挟み込むのも、遊び心があって楽しい。手元にCDがないのでうろ覚えですが、彼にはこの曲を書いた記憶がないそうです。これくらいの楽曲なら、遊び半分でちゃちゃちゃと書けちゃうんでしょうね。

そんなNick Loweのソングライティングを垣間見れる逸話が、もうひとつあります。彼のソロ・デビュー曲'So It Goes'は、Steely Danの'Reelin' in the Years'と、Thin Lizzyの'The Boys Are Back in Town'を掛け合わせて作ったとの弁があります。あらら、そんな種明かしをしちゃっていいのでしょうか?では、2曲を聴いてみましょう。





では、'So It Goes'を聴いてみましょう。



Aメロは確かに'Reelin' in the Years'に激似ですが、'The Boys Are Back in Town'とはそれ程似ていないような…。

この曲と、カップリングとなった'Heart of the City'の録音は、たった45ポンドの低予算で行われたそうです。Steve Gouldingのドラムの他は、全て彼自身の演奏です。そんなインディ・レーベルならではのDIY的な製作を思うと、この'So It Goes'も、上記'So Heavy'同様、ちゃちゃちゃっと書き上げたやっつけ仕事だったのかもしれません。それでこんなキャッチーで耳を惹く楽曲になるのですから、やはり持って生まれた才能の成せる技なのかな、と思ってしまいます。

上記ビデオの演奏は、DIYなレコード・ヴァージョンとは異なり、Rockpileでの演奏。ファースト・アルバム"Jesus of Cool"のジャケ同様、複数の格好で演奏する凝った作りです。この、Dave Edmundsのコーラスがしっかり入るRockpile版も、ダイナミックな演奏で素晴らしいです。Rockpileのライブは、CDのボーナスなどオフィシャルではなかなか味わえないのですが、もうすぐ80年のライブがとうとうオフィシャル化されます。個人的には78年前後の演奏が一番好きなのですが、出してくれるだけでも嬉しいので贅沢は言えません。

オマケに、彼らのライブ映像をどうそ。状態の悪い映像ですが、演奏は最高です!!









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